遺言書

遺言とは

遺言(いごん)とは、ご自身の財産の分け方や、葬儀・相続に関するご希望などを法的に有効な形で残すための最終の意思表示です。

遺言書を作成しておくことで、ご家族が相続の手続きで困ることを防ぎ、トラブルを未然に回することができます。

遺言は、法律で定められた形式に従って作成する必要があります。形式に不備があると無効になる場合もあるため、正確な書き方や要件の確認が重要です。

遺言書を作成するメリット

遺言書を作成しておくことには、ご自身の財産をどのように引き継ぐかを明確にできるという大きなメリットがあります。遺産の分け方がはっきりしていない場合、相続人同士で話し合いが必要となりますが、その過程で意見が分かれ、時間や負担が生じることもあります。遺言書があることで、遺産の行き先が明確になり、相続手続きがスムーズに進む可能性が高まります。また、特定の家族に配慮した分け方をしたい場合や、生前にお世話になった方へ財産を渡したいといった希望も、遺言書があれば確実に反映させることができます。

さらに、遺言書には法的な形式が求められますが、適切な方法で作成しておくことで、ご本人の意思が尊重されやすくなります。万が一ご自身が判断能力を失ってしまった場合でも、遺言書があれば、周囲の方が困らずに手続きを進める助けになります。大切な財産を誰にどのように託すかを、ご自身で決められることが遺言書の役割であり、残されるご家族にとっても安心につながる手段といえます。

遺言書がない場合のデメリット

遺言書がないまま相続が発生した場合、法律で定められた法定相続分に従って遺産を分けることになります。相続人が複数いる場合には、誰がどの財産を取得するかを話し合って決める必要があり、その過程で意見が一致せず、相続手続きが長期化してしまうことがあります。また、故人の希望が明確に示されていないため、相続人が「本当はどうしてほしかったのか」と悩む場面も少なくありません。

特定の相続人に多く財産を残したい、配偶者の生活を優先したい、生前にお世話になった人に財産を渡したいといった希望があっても、遺言書がなければ反映されない可能性があります。その結果、残された家族が不公平感を抱いたり、相続をめぐるトラブルにつながることもあります。遺言書を用意しておくことは、ご自身の意思を明確にし、残されたご家族の負担を減らすための有効な手段といえます。

遺言書作成における行政書士のサポートについて

遺言書は、ご自身の財産の分け方や希望を明確に示すための大切な文書です。行政書士は、遺言者ご本人の意思を尊重しながら、遺言書の作成をスムーズに進めるための一般的なサポートを行うことができます。

具体的には、遺言書に盛り込みたい内容の整理や、必要な資料の確認、法律上の形式に沿った作成手順のご案内など、遺言書作成の準備段階での助言や支援を行います。また、自筆証書遺言や公正証書遺言を作成する際に必要な書類の案内や、公証役場での手続きの進め方についての一般的な説明もサポート可能です。

ただし、遺言内容の法的有効性の最終判断や、相続人間で紛争が生じている場合の代理交渉などは行政書士の業務範囲外となります。そのため、必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家をご案内することがあります。

行政書士が関与することで、初めて遺言書を作成される方でも安心して手続きを進めることができ、ご自身の意思を確実に反映させる準備を行うことが可能です。

遺言(ゆいごん)と遺言(いごん)の違い

一般的に「ゆいごん」は、亡くなる方が家族などに伝える感謝や願いの言葉を指し、法的な効力はありません。

一方、法的な意味での「いごん」は、本人(被相続人)が自分の死後の財産の分配など法律関係を定めるための最終意思表示のことをいいます。

この「遺言(いごん)」は民法第960条で「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められており、定められた方式に従って作成された文書を「遺言書」といいます。

「ゆいごん」=家族への思いや願い

「いごん」=死後の財産処分などを定める法的行為

残される家族への感謝や願い(ゆいごん)法的効力なし
法律関係を定めた故人の意思表示(いごん)法律効力あり
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