婚前契約書

婚前契約書の目的

婚前契約書の目的は、単なる「離婚対策」ではなく、「円満な結婚生活を送るための基盤作り」にあります。

・価値観のすり合わせとトラブル防止
 結婚前に、家事分担、金銭感覚、子どもの教育方針など、将来の生活に関するお互いの考え方や譲れない点
 を明確にし、結婚後の予期せぬ衝突や不和を未然に防ぎます。

・財産に関する取り決め(夫婦財産契約) 
 特にどちらか一方に多額の財産(経営する会社の株式、不動産、親から相続した財産など)がある場合、結婚
 前の財産(特有財産)と、結婚後に協力して築く財産(共有財産)を明確にし、離婚時の財産分与トラブル
 を避けます。

・離婚時の紛争軽減
 万が一離婚に至った場合に、財産分与の割合や慰謝料の取り決めなど、特に揉めやすい事項について事前に合
 意しておくことで、感情的な争いを避け、手続きをスムーズに進めることができます。

婚前契約書の主な内容

婚前契約書に記載できる内容は原則自由ですが、主に以下の3つの大枠に分類されます。

・結婚生活のルール
  1. 家事・育児の分担方法

  2. 生活費の負担方法や貯蓄に関するルール

  3. 互いの親族や友人との付き合い方

  4. 仕事やキャリアに関する方針


・夫婦の財産に関する取り決め(再婚時には特に重要)

  1. 特有財産(結婚前から持っていた財産)と共有財産(結婚後に気付いた財産)の明確な区分
  2. 結婚後の財産の管理方法
  • 万が一の際の取り決め

    1. 不貞行為(浮気・不倫)やDVがあった場合のペナルティ(慰謝料の金額など)。

    2. 離婚時の財産分与の割合。

    3. (ただし、親権養育費など子どもの利益に関する事項は、契約で定めても最終的には家庭裁判所が判断します。)

婚前契約書の法的効力

夫婦となる男女が自由な意思で締結した契約書は、一般的な契約書と同様に法的効力が認められますが、一部の例外もあります。

  • 無効となる内容
    公序良俗に反する内容(例:不貞行為を容認する内容、法定離婚事由以外の離婚原因を理由とする離婚条件、法外な高額の慰謝料など)や、強行法規に反する内容(例:法律で認められた扶養義務を全面的に否定する内容)は無効となります。

  • 公正証書化
    婚前契約書を公正証書で作成しておくと、金銭の支払いを約束した部分について、裁判を経ずに強制執行が可能となるなど、より強力な証明力を持つことができますが、公序良俗に反する内容や強硬法規に反する内容を原因とする金銭の支払いを約束した部分については、公正証書化したとしても強制執行することは出来ません。

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